DAコンバータアナログ回路の改造

現在使用中のDAコンバータ(金田氏設計/DCアンプシリーズNo.196)のアナログ出力回路は、PCM1794Aの2つの+/-電流出力にそれぞれIVCアンプを通してDSC(Differential Single-end Converter) アンプで合成する構成。片chに3台のアンプを使っている。

「電流伝送方式オーディオDCアンプ(プリアンプ&デジタルオーディオ編)」の記事「真空管D/Aコンバータ」を参考にしてアナログ出力回路の簡素化をやってみた。

PCM1794Aの電流出力(IpとIn)を電流のまま差動合成してIVCアンプ一台で出力する構成だ。電流の差動合成にはベース接地アンプ+カレントミラー回路を使う。ベース接地の2SA970でIpを受け取り、2SC2240のカレントミラーで写し取った電流をInと付き合わせるという極シンプルな回路。これでIp - In の合成出力を得て、反転入力のIVCアンプを通してDAコンバータの出力とする。LPFは、IVCのフィードバックループのCR(2200pF/820Ω)と、IVCの出力に置くCR(470pF/2kΩ)とする。

回路図をLTSpiceで書いて、ついでにシミュレーションしておく。
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実際に使うTr, FETと同じLTSpiceモデルは持っていないので耐圧が同程度の素子で代用する。
PCM1794Aはモノラルモードで使っているので出力信号の最大振幅は2倍の7.8mAである。P/N出力が合成されると2倍になるので、これがIV変換されると12Vもの振幅になる。
電源電圧は±30Vにしてあるから出力クリップはしないがちょっと大きすぎる出力だ。出力Tr. には10mAを流すので300mWほどの損失があることがシミュレーションでもわかる。2SC959を使うので耐圧は大丈夫だが放熱器をつけている。

まず、右チャンネルだけ作ってみた。IVCアンプを撤去してTr.2個の基板と交換する改造は簡単だった。
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WAVEGENで作ったのこぎり波信号(0db)の音源で出力のスイングチェック。クリップはしていないようだ。シミュレーションどおり12Vほどの振幅が出ている。改造していない左CHと比べてみたが瓜二つでだった。左右CHで位相が逆転していないこともチェック。
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音は改造前とほとんど変わらない。強いていれば改造前の方がリッチな充実した音を出していた感じに対して、改造後は素直な混じり気の無い音に近づいた。
左CHも同様に改造した。ピアノのアタック音が澄んで聞こえるようになった。何よりも部品点数がこれだけ減ったのに同じ音が出るというのは気持ちが良い。 次はさらに簡素化して電流伝送タイプにしてみたい。