タグ:ADS-B

(2021 Jan.)
ADS-Bフィーダーを作ったが、干渉電波の影響を抑えるためのフィルターが必要らしいことが分かったので、1090MHzのフィルターを探した。
そこでネットで見つけたのがSAWフィルタ+LNAのキット。基板+必要部品のセット配布だ。
メールで注文して代金を振り込んだらすぐに送ってくれた。ありがたい。
↓ 配布内容(チップ部品がリストと共に丁寧に並べられてる)
FullSizeRender

↓面実装は初めてではないが、鉛フリーはんだを使ったところやりにくかった。融点が高いのだ。こての温度設定を上げれば良いのだが、高温だとフラックスがすぐに蒸発してしまい、きれいにはんだが流れない。溶けにくいのでついつい多めに盛り上げてしまう。理想は富士山の裾のようにフィレットを作ることだ。グランド側の基板ランドは熱を吸い取りやすいので多めの加熱が必要だ。特にU1(LNA IC)のグランド端子にははんだが流れにくかった。SAWフィルタ部品はフラックスを多めに塗って乾かしてべたべたになるのを待って位置決めした後にはんだを流したらうまくいった。
出力側のSMAコネクタはUSBチューナーを直結したいのでオスタイプに変更した。電源はUSBチューナーからBias-Tで供給(同軸重畳給電)するのでUSBコネクタの取り付けは省略。
(Bias-Tの供給を生かすにはUSBチューナーの設定変更で行う。RTL-SDR.comのUser GuideTo enable the bias-t in Linux: のところに説明がある設定プログラムをコンパイルして実行する)
FullSizeRender

完成した基板をUSBチューナーに直結してアンテナサポートに入れた。基板上のLEDが光ることで給電されていることが確認ができる。
FullSizeRender

 
↓はフィルタを入れる前の1090MHz周辺の受信状況を観察したもの。ADS-BはPPM変調信号なので音を聞いてもよくわからないが、なにやら変な山が出たりしている状態。周辺周波数のノイズも多く感じる。
woFilter(Gain=Auto)

↓はフィルタを入れた状態。全体的に静かになっている。
wFilter(Gain=49.6)


さて、ADS-B受信のデコード効果だ。200km以上が見えるようになった。明らかに感度が良くなった。300km以上が見えることもあるようだ。アパートのベランダからの環境(約20mH)なので見通しはあまり良くないのだが、これだと一応のところフィーダーとして働けるだろう。

FullSizeRender

(2021 Jan.)
ADS-Bを受信してFlightRadar24にフィードするシステムはPCでも組めるが、常時動作させたいのでRaspberry Piを使って専用システムを作った。

■構成機器
・Raspberry Pi本体 (Raspberry Pi 2 Model B V1.2)
 無線LANが使えるラズパイ3でも良いが、ここはあえて有線LANで繋ぐとしラズパイ2を選定した。
・SDカード
 MicroSD 8GB
・電源
 PoEスプリッター(LANケーブルに乗せた電圧を5Vに変換してラズパイに供給する)
・USBチューナー
 RTLーSDR Blog V3
・アンテナ
 同軸コリニア(1090MHz用、6エレメント構成) (自作)

■アンテナ+USBチューナーの取り付け
 アンテナから同軸ケーブルを屋内に引き込んで受信していたが、この同軸ケーブルは極力短くしたい。究極はアンテナ直下にRFフロントエンドを置くことだ。そこでUSBチューナーとアンテナを直結してみた。アンテナのサポートには塩ビ水道管を使っている。アンテナの根本を30Aサイズの塩ビ管に拡大してその中にチューナーを納めてしまおうという算段。直射日光の輻射熱対策としてアルミテープを巻いておく。(チューナー本体はかなり発熱するので、冬は良いが夏は熱放散できるか不安)

FullSizeRender

FullSizeRender
↑ ベランダに設置したアンテナ。アンテナ本体が曲がって見えるが、実際曲がっている。太陽の光を受けると熱膨張して曲がるのだ。(ホームセンターで見つけた黒いプラスチックパイプを使っているが、ここはグラスファイバー製にしたいところ)

■ラズパイ本体の設置
USBチューナーとラズパイはUSBケーブルでつなぐことになるが、この長さは2m以内に収めたいところ。動作中のUSBチューナーがかなり発熱することからも結構な動作電流が流れているはず。5V供給では電圧降下も心配。ラズパイ本体はプラスチックケースに納めてアンテナサポートの近くに置くので必然的に屋外設置となる。
タカチ製の安価なプラスチックケースに納めてみた。一応密閉される構造だが防滴構造ではない。ケーブル貫通部にはグランドを使って湿気の侵入を極力防ぐ。グランド穴は6mm径なのでUSBケーブルのコネクターが通せない。そこで雄コネクタの根本でケーブルを切ってグランドに通して、端子台付きのUSBコネクターを使ってケースの中で再結線した。
LANケーブルも片側のコネクターを切って通した。切った方は屋内に引き込んで、ツールレスで端末できるLANコネクターを取り付けた。LAN接続ポートはPoE対応のEthernetハブを使った。
プラスチックケース内の環境監視のために温湿度センサ(BME280:Switch Science製)をI2C接続してケース内に設置した。
FullSizeRender


IMG_0529
↑ベランダの柵にプラスチックケースを取り付け。手すりの下に入れたので雨水に直撃されることはないだろう。

■ 運用
ADS-B信号のデコーダにはModesdeco2を使っている。期待を込めて受信を始めたが思ったより距離が出ない。同軸ケーブルを屋内に引き込んで受信していたときより悪い感じ。がっかりだ。良くても160km位しか捉えられない。
FullSizeRender

↑の結果はチューナーのゲインを最大(49.6dB)に設定していたが、少しゲインを落として40.6dBにしてみたのが↓ 。この方が若干だが距離が延びる。200km位は受信できている。
FullSizeRender

USBチューナーをアンテナ直下に置いた分、外界ノイズの影響を受けているようだ。
FM放送や携帯基地局からの電波はかなり強力で、そういうものが干渉するらしい。そうすると1090MHzのフィルタが必要だ。

ちなみにプラスチックケース内の環境センサのデータはPythonでプログラムしてクラウドのデータベースサービスに定期的にアップロードしている。↓のようにクラウドのweb画面のトレンドグラフで監視できる。CPU温度はラズパイのシステムコマンドから得ている。大体50℃くらいだが、ケース内温度に左右される。太陽が出てくるとケースが温められる。ケース内のPoEアダプタも幾分発熱しているようで、外は寒くてもケース内はほんわか暖かいようだ。温度と相対湿度のデータから露点温度もPythonで計算している。冬場は結露することはないだろうが夏は要注意かも。

RPi環境


↑このページのトップヘ